もし、あなたがCubaseのオーディオのドロップアウトで困っているのなら、この記事の内容が役に立つ可能性があります。
出力バスのASIO-Guardの問題は、Steinbergが公式に認めているCubaseの問題のひとつですが、その対策も公式に公開されていますので是非対策を行ってみて下さい。
初期状態の出力バスにはASIO-Guardが適用されない
ASIO-Guardとは、非リアルタイムのオーディオ処理を事前に演算しておくことによってCPU負荷を激減させる技術です。
この機能によって、安定的な音楽再生と編集作業が可能になっています。
しかし新規ファイルで起動した場合には、ミックスコンソールの出力バスにASIO-Guardが適用されないという問題があるのです。
そのため、出力バスに何らかのプラグインエフェクトが挿入されている場合、それらエフェクトはCPU負荷の掛かるリアルタイム処理が行われてしまいます。
下の画像は、出力バスに挿入したプラグインがASIO-Guardで処理されず、CPU負荷を高めてしまっている様子です。
CPU負荷の小さなプラグインであれば問題は顕在化しづらいですが、マスタリングエフェクターなどの負荷の大きなプラグインの場合だと、ドロップアウトが頻発する可能性が高まります。
この問題はCubase 13までのバージョンで確認されており、公式掲示板ではCubase 14でも発生しているとの報告も見られます。
出力バスにASIO-Guardを適用させる方法
Steinbergの公式掲示板によると、この問題を回避するには次のいずれかの方法を実行すれば良いとのことです。
A. オーディオ接続設定ウィンドウで既存の出力バスを削除し、新しい出力バスを作成して使用する。
B. オーディオ接続設定ウィンドウで二つ目の出力バスを作成し、最初の出力バスの代わりに使用する(二つ目の出力バスはASIO-Guardで処理されます)。
※この場合、二つ目の出力バスを右クリックし、Main Mixに設定しておくのを忘れないようにしましょう。
上記のいずれかの方法を実行することにより、出力バスにASIO-Guardが適用されるようになります。
この対策方法の詳細は、下記のリンクから確認できます(公式掲示板)。
出力バスを新しく設定したら、各トラックのルーティング設定を確認して、音声出力が新しい出力バスに正しく接続されていることを確認しておきましょう。
Cubaseでは新規ファイルを作成する度に出力バスが初期状態に設定されるため、ASIO-Guardが常に適用されるようにするために上記の対応をする必要があります。
動作の確認を終えたら、この対策を行った状態のファイルをテンプレートとして保存しておくことをお勧めします。
ASIO-Guardの余談
オーディオパフォーマンスを安定させるために、スタジオ設定でASIO-Guardを調整することは必須の設定項目です。
しかし新規ファイルの出力バスではASIO-Guardが適用されないというのは、意外な盲点だと思います。
ちなみに公式掲示板によると、現状の出力バスの挙動はSteinbergとしては仕様であるという見解も見られます。
初期状態の出力バスにASIO-Guardが適用されないことが有益に働く特定のケースがあるとのことです。
『私たちはこの問題を認識しており、対処するつもりです。
この動作は実際に 「設計通り 」であり、特定のユースケースで必要とされるものです。明日解決できるとは思っていません』
いずれにせよ将来的には何らかの形で対処される見込みですので、改善を待ちましょう。