オーケストラVST音源のメモリー使用量のチェック方法

Cubase

オーケストラVST音源を多数使用した音楽制作においては、PCのメモリー使用状況(RAM容量)に注意する必要があります。

音源を読み込み過ぎてメモリー不足になると、Cubaseが不正終了してしまう可能性が高まります。

多くのWindowsユーザーはタスクマネージャーでメモリーの利用状況をチェックしていると思いますが、見るべきポイントを誤るとトラブルに巻き込まれてしまうので注意が必要です。

この記事では、メモリーの使用状況がシビアなWindowsユーザー向けに、正しいメモリー利用状況の確認方法をお伝えします。

タスクマネージャーで見るべきポイント

結論から言うと、正確なメモリー使用状況は「コミット済み」の欄に表示されている数値で確認します。

※下の画像の赤枠の数値。

多くのユーザーは「メモリ使用量」のグラフや「使用中」の数値を見ていると思いますが、これはあくまでも物理メモリーだけの利用状況を示すもので、実際の全体のメモリー状況を表していません。

Windowsでは仮想メモリー(物理メモリー+ページングファイル)が用いられており、この仮想メモリーの状況を示した「コミット済み」の数値をチェックすることが重要です。

上記の画像を見ると、物理メモリーとページングファイルの合計が67.9GBで、その内の37.0GBが使用中であることが分かります。

赤枠の上の数値を見て、29.4GBだと誤認しないようにしましょう。

メモリートラブルの具体例

私がPLAY版のQLSOを使っていた頃によく発生していたトラブルの話です。

当時は少ない物理メモリーの範囲内でやりくりしていたのですが、プロジェクトファイルを読み込んでいる途中でCubaseが不正終了してしまうケースが頻発したことがあります。

タスクマネージャーのグラフ上では、まだ物理メモリーには余裕があるはずなのに、なぜか上手く読み込めないのです。

原因は、設定していたページングファイルの量がとても少なかったため、コミット済みの数値(仮想メモリー)が先に上限に達してしまっていたからでした。

Cubaseと同時に起動していたアプリの数が多いとき、プロジェクトの読み込み中に仮想メモリーが底をついてしまっていたのです。

そこでWindowsの「システムのプロパティ」でページングファイルを増やして仮想メモリーのサイズを大きくしたところ、問題は無事に解消されました。

ページングファイルを増やしておこう

あなたがオーケストラ音源を使って音楽制作をしている場合、PCには64GB以上の物理メモリーが搭載されているかもしれません。

もしくは16GB以下のメモリーで工夫しながら作業しているのかもしれません。

どちらの場合にせよ、限界近くまで効率的にメモリーを使いたいのにどうしてもCubaseの動作が不安定だという場合は、ページングファイルの設定値が小さ過ぎて、仮想メモリーが不足している可能性があります。

※ページングファイルの設定は「システムのプロパティ」から行えます。

もし、設定値が1GB未満だったり2~3GB程度だった場合は、思い切って大きな数値にしてみることで安定する可能性があります。

タスクマネージャーを観察してみると分かりますが、物理メモリーの使用量と比べると、コミット済みの数値は思った以上に大きな値になっていることが見て取れます。

ですからページングファイルが小さ過ぎると、容易に仮想メモリー不足に陥ってしまうことが分かります。

ちなみに私のPCでは、物理メモリー48GBに対して、ページングファイルは20GBに設定されています。

プラグイン音源によって仮想メモリーの利用サイズは異なる

どれだけの仮想メモリーが必要になるかは、プラグイン音源によって大きく異なります。

物理メモリーはわずかしか消費しないのに、コミット済みの数値(仮想メモリーの消費サイズ)がとても大きくなるというケースも存在します。

その場合、グラフ上の物理メモリー残量にはとても余裕があるのに、なぜかCubaseが不正終了するという現象に見舞われることになります。

解決方法としては、ページングファイルを物理メモリー量と同等以上に大きく増やしてみましょう。

例えば物理メモリーが64GBならば、ページングファイルを64GB以上に設定します。

思わぬプラグインが大量に仮想メモリーを消費している可能性がありますので、プラグイン音源ごとにどれだけの仮想メモリーが使用されるのかを確認しておくことで、事前にトラブルを回避しやすくなるでしょう。

過去の音楽制作用PCのチューニング情報を更新しよう

過去によく言われていた設定ノウハウのひとつとして「仮想メモリーの無効化」と呼ばれるものがありました。

ページングファイルのサイズを0に設定することでストレージへのアクセスを無くし、リアルタイム処理の遅延要因になるものを少しでも減らそうとしていたのです。

「たくさんの物理メモリーがあれば大丈夫だろう」というページングファイル不要論は、過去にそれなりのコンセンサスがあったと思われます。

しかし現在では、これはOSの不安定化を招くだけであり、本来のWindowsのポテンシャルが発揮できなくなると言われています。