EastWest社の Hollywood Orchestra Opus には、簡単に演奏に揺らぎを加えられるヒューマナイズ機能が備わっています。
この機能を使うことで、アタックとリリースのタイミングやピッチ(音程)、ベロシティなどを、リアルタイムに自動でランダマイズすることが出来ます。
Hollywood Orchestra Opus のヒューマナイズ機能
Opus のブラウザから音色パッチを選択したら、「PLAY画面」の「MIDI TOOLS」を開いて、ウィンドウ右上の「+」から「Humanizer」を選びます。
このツールを設定することによって、音色パッチに対して自動的にヒューマナイズ処理が行われるようになります。
設定項目は以下の通りです。
- ノートオン タイミング(0~100ms)
- ノートオフ タイミング(0~100ms)
- ベロシティ(0~50%)
- チューニング(0~100cent)
- 音量(0~100%)
- パンニング(0~100%)
ヒューマナイズの掛け過ぎに注意
MIDIデータにヒューマナイズを施す際には、掛け過ぎに注意する必要があります。
誤解されがちなのですが、人間の演奏の揺らぎはMIDIデータのランダマイズによって模倣できるというものではありません。
ランダマイズによる揺らぎは単なる「タイミングの分散」に過ぎず、掛ければ掛けるほど下手な演奏になっていきます。
理想は、一定以上のレベルの演奏者がタイミングを合わせようとした際に起こる、必然的な(避けられない)揺らぎを再現することです。
私の場合、タイミングのランダマイズは「バラつきが分かるか分からないかギリギリの程度」に抑えるか、そもそもタイミングにはランダマイズを掛けないケースもあります。
そして重要度の高いフレーズに対してだけ、個別にタイミングを伸縮させる処理を行います。
ピッチ(音程)のランダマイズは慎重に
同様に、ピッチ(音程)のランダマイズも掛け過ぎには注意が必要ですし、処理の必要性があるか無いかの判断も慎重に行うことをおすすめします。
私の場合、弦楽セクションといった「合奏系の音色」には掛けないようにしています。
セクション系の音色には「複数の演奏者によるピッチの揺らぎ」が既に含まれているので、ここへさらに揺らぎを加えると「発音ごとに演奏者全員が一緒に同じ方向へ音程をずらす」ということになってしまいます。
深めの設定で試してみるとよく分かるのですが、音痴を通り越して、不自然で人工的な印象が強くなってしまいます。
反対に、ソロ系の音色とピッチのランダマイズは相性がいいので、掛け過ぎに注意しながら色々試してみてください。