キースイッチ(奏法指示)の変更を初回再生時から正しく反映させる方法

Cubase

Cubaseでは、エクスプレッションマップ機能によってキースイッチ(アーティキュレーション)を切り替えることが可能です。

しかし、エクスプレッションマップには細かいバグや不可解な仕様が散見されるため、想定通りに奏法を切り替えたり、キースイッチを動作させるのが難しい側面があります。

今回解説する内容は、そんなエクスプレッションマップのバグ(仕様)の一つに対する回避策についてです。

アーティキュレーションを編集しても初回再生時は変更が反映されない

キーエディターでアーティキュレーション情報(キースイッチの情報)を編集して、確認のために再生しても、初回再生時には変更が反映されません。

一度再生を停止し、改めて再生させると、編集内容が反映された演奏を聴くことができます。

ちなみに、再生の開始前にポジションカーソルを移動させると、その時点でアーティキュレーション情報が反映されます。

このようなバグ(仕様)があるため、キーエディター上での普段の編集作業では、アーティキュレーション情報の編集と確認に余計な手間が掛かってしまいます。

プリロール機能でポジションカーソルを強制的に移動させる

ポジションカーソルを移動させるとポジションに応じたアーティキュレーション情報がセットされるのであれば、この仕様を利用して問題を解決することが出来そうです。

Cubaseにはプリロール機能というものがあり、この機能を使うことでポジションカーソルを手前に移動させてから再生をスタートさせることが可能になります。

そこで、極わずか(1 tick)のプリロールを設定して、再生開始時に常にポジションカーソルを移動させるようにします。

下の図は、トランスポートパネルにあるプリロールの設定項目です。

こうすることで、アーティキュレーション情報を編集した初回再生時でも、変更内容が反映された状態で再生されるようになります。

プリロールの設定は、プロジェクト画面の下端の情報ウィンドウかトランスポートパネルにあります。

表示されていない場合は、パネル部分を右クリックして項目にチェックを入れて表示させてください。

細かい奏法指示の編集をスムーズに行うために

私自身、今回の問題対策を実践するまでは、再生ボタンとして設定しているスペースキーを素早く何度も叩いて、ポジションカーソルを移動させて対応していました。

しかし当然ですが、これでは常に余計な手間が掛かってしまい、無用なストレス要因となってしまっていました。

一時は、再生前にポジションカーソルを移動させるマクロを作って使用していましたが、同様の動作をプリロールで行えることを知り問題がスマートに解決できたという経緯があります。

アーティキュレーションの試聴チェックという作業をストレス無く行えるようにすることは、音楽制作において無視できない要素ですので、気になっていた場合は是非対策をなさってみて下さい。

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著者プロフィール

PCのMIDI打ち込みで音楽制作をしているミュージシャンです。これまで過去にコンシューマーゲームや舞台音楽、ミュージカルなどの作編曲をしてきました。

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